Bagus! は関西で活動中のゴキゲンなバンドです!

Bagus!

CITY!

Bagus! 1st Album

“ CITY! ”

  1. ステキな夜
  2. Ride on
  3. ちるあうと
  4. Melancholic Summer
  5. 日曜日のユーウツ
  6. はいからさん
  7. Nega Posi

※ライブ会場、夕方カフェにて、¥1,000-で発売中!
通販ご希望の方はTwitterよりお知らせください。

 「冬に記す夏の印象」-とは、文豪ドストエフスキーの小説の題名。まだ読まないが、何だか切ないような、そこはかとない郷愁を感じさせる素敵な言葉だ。Bagus! を思うときいつも、そんなふうな淡い詩情がこみ上がってくる。じっさい、冬の初めに届いたアルバム音源へ耳を傾けると、わたしの心は立ちどころ八月の和歌浦へ帰っていった。


 帰っていった? しかし、それはいまここにあるのだ。思うに、思い出とは過ぎ去るものでなく、未来もまたさきからやってくるものでない。すべてはなつかしく刹那にあって、名前のつけようがないが、あえていうならそれは夏だ。わたしたちはいつでも夏を思っていて、そうして変わらない夏のなかにいる。


 変わることを否定しない白川クンのMCに、わたしはそういったメッセージを受けとった。瞬間にしか永遠が存在しないように、変わり続けることによってしか、変わらないものを感じとることはできない。だからわたしたちは祈る。


 それにしても、何と香ばしいチタルの歌声だろう! よくよく耳をすましてほしい。流れる心地よい調べとリズムのうちに、はるかな潮のざわめきが聞こえやしないだろうか。砂を灼く日のたてる、かすかな音が紛れ込んでやしないだろうか。品よく残響処理された抜けのあるサウンドは、あのビーチの穴ぐらみたいなステージを彷彿させる。ときは宵口、背中は海、手には泡立つビアグラス、そしてカンパイしたいあの子の面影……。もはや何もいうことのないゼイタクなひとときが、見事にパッケージされている。それをこの風吹く小さな街の片隅で追体験する幸福といったら!


 くり返しを恐れず何度もいいたい。こうして思いめぐらす同じ海が、いまもそこにあって浜辺の砂を洗っている奇跡! 冬の時代のネガの眺めをポジへ転ずる音の不思議! これをグッドミュージックといわずして何という。生きることはすなわち楽しむことなのだ。


 と、曖昧なわたしの印象はここまでにして、いまはただ一枚のディスクへ封じられた、胸おどるあたらしい夏の誕生に、皆さんと祝杯をあげたい。ありがとう、Bagus!


保田 穂
文芸誌しんきろう・同人

“変わる人間と変わらない音楽”

 Bagus! 1枚目の作品「CITY!」が届きました。


 音楽のはじまりや原体験、音楽の為す役割、付き合い方…などは多種多様であり、自ずと無視出来ない仕組みになっています。Bagus! の場合はその中から少なくとも1つを確実にピックアップしていて、それでいてそれを選んでいる事に対して不思議に思っていないので妥協点がそれほどなくリラックスして完成されたものだという印象を受けました。


 作詞作曲を担っているシラカワという人間は掴もうとしても指をするっと抜けていくような不自然さがありながらその対極も持ち合わせていて、彼の言葉を借りるなら「面白そうなヤツ」に集約されます。


 ルーツは多少垣間見えるし、それを昇華出来ているか? ただそんなことはさして重要ではないので、これから聴いてゆくみなさんが判断してください。芯があり熱量を持った面白い作品だと思います。ラーメンに例えるとオールドスクールな鶏ガラ豚骨清湯醤油ラーメンにカイワレとレアチャーシューが乗ってる感じだな。


上西功修
Lavender Pillow・ギター

 同世代のつながりという観点で本作を語りたい。というのは、ソウルやヒップホップ、シティーポップへのアプローチもさることながら、「同世代の仲間」と呼ぶべき身近なバンドマンたちの作品を意識せずして、『CITY!』は作りえなかっただろうと強く感じるからだ。


 まずはペペジンの第一号でも特集され、Bagus! メンバーも参加しているアパートの『ACCESS THE AGE』、そのアルバムでサックスを吹いていた山本健二率いるヤマモトケンジ&ヒズ・ラッキーフレンズの『海を見に行こう』。本作同様、彼らの音楽からは一様に街=Cityの情景が思い浮かぶ。あえて強引に比較すると、アパートと山本健二の表現する街がある意味で抒情的なのに対し、Bagus! の街の質感はとても肉体的だ。体験した楽しさや淋しさをそのまま吐き出している。その特徴が最も端的に出ているのが本作の最後を飾る「Nega Posi」だ。2015年末に移転を余儀なくされた京都丸太町のライブハウス・ネガポジに向けられた実直なラブソングは、「だけど変わってほしくないものだって確かにあって、例えばお気に入りのあの店だったり、僕が君のことを好きで君が僕のことを好きなことだったり」というリリックで頂点に達する。ご存知の方も多いかと思うが、現在西院で営業を再開したネガポジは、移転前から新進気鋭のバンドが多数出演する京都の人気ライブハウスだった。Bagus! もまた、その地で同世代の仲間と知り合い、互いの音楽に携わるようになった。


 そんな彼らの関わり合い方、音楽的共通項を見ていると、在りし日のグラスゴーやアセンズ The Elephant 6界隈もこんな感じだったのかと、勝手な想像をしてしまう。小さいながら、京都の一ライブハウスを中心に確かな音楽シーンが成立しているのだ。『CITY!』はそんなシーンの豊潤さを感じさせてくれる希望の名盤となっている。


二宮大輔
フラフープス・ボーカル

 12月の頭、天神橋六丁目の居酒屋で適正量のアルコール摂取量を少しオーバーしたシラカワからこのCDを渡された。『CITY!』と名付けられたこのCDは「Ride on」の言葉で始まるBagus! の1stに相応しいご機嫌なCDだ。


 夜、突然の誘いで街に出かけると、色んな遊び場所で、それぞれの夜が始まっている。仕事終わり、愚痴や説教で盛り上がっている会社員、仲の良さそうなカップルや、喧嘩中の人もいるかもしれない。家で一人でいるときには想像もできなかった夜がそこには毎日ある。街には人がいて、音楽があって、恋があって、もちろんお酒がある。このCDはそんな『街』に、『夜』に出会いに行こう! と誘っているようなCDだ。それが彼らの「Ride on」なのだろうと思う。


 シラカワは「僕ら」って一人称がよく似合う。tr.6『はいからさん』で「人生って何かを楽しむためにあるんでしょ? そうよ! 何かを楽しむため 私は生きるのよ」と歌う一番から、二番では「私たちは生きるのよ」と言い換えられる。そして、このCDのラストトラックであり最長のトラック『Nega Posi』ではシンプルなトラックに乗せて、赤裸々とも言えるほど、遊び場のこと、友達のこと、そして変わっていくことについて語りかける。ここでもやはり一人称は「僕ら」である。僕らが変わっていくように、街も、夜も、同じ日は一度もない。だからこの街を、この夜を楽しもうぜ! そんな風に語りかけてくる。それはある意味でこの『CITY』を僕らで作っていこう! と語りかけているのだろう。是非このCDを手にとって「Ride on」してほしい。 そして、友達と遊ぶ時や、車で出かける時に回してほしい。


 数年前、まだ僕らがそんなに仲良くなかった頃、江添さんと木屋町で深く呑んでいて「一番抱きしめたいのはシラカワだ」という結論に達したことを今でもよく覚えている。もちろん、どうゆう流れでそうなったのかは、適正量を遥かに超えたアルコール摂取のせいで何も覚えてはいないのだけど。 そして、今では「彼ら」が大好きだ。


有本秀右
GROUPエンペラーめだか・ボーカル、ライブ&酒 Nega-Posi・店長

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